嘘つきピエロ

□意地悪とピエロ
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「キャー!幸村くんー!!」
 
「丸井くんこっちむいてー!」
 


相変わらずなにぎわいのフェンス外。



「仁王くーん!」
 


豪奢なお姉様たちが声援………いや悲鳴をあげておられます。


「ふぅ、」
 

立海テニス部マネージャーを引き受けてから早1週間。
通院は2週間に1回、ピアノレッスンは部活終了後、今のところ護衛兼ファンクラブからの御仕置きはなし。
 
平凡に、普通に、何も変わらない日常が続いていま…ん?
 

ゆきむ、…精市くんや柳くんや仁王くんにいじめられるようになりました。 

 

「天津」
 
「なんですか?」
 
「幸村が呼んでるぞ」
 

と柳くんに言われ精市くんのところに言ってみても、
 

「精市くん、何か用ですか?」
 
「…え?……俺?」
 
「だって、柳くんが……」
 

と後ろを見ればにやにや笑ってる柳くん。
…………してやられた。
 

「……ふーん、ひなは俺に遊んでほしいんだね?」
 
「…ぇ、ぁの…」
 
「俺呼んでないんだけどな?まあ来てくれたのは嬉しいんだけど」
 
「…ぇと、だって」
 
「うーん、マネージャーさんお仕事放りだしてだめだねえ」
 
「…ぅ、……ぇ」
 

たしかに柳くんの一声でお洗濯放り出してきましたけど…!
 
精市くんは笑顔が怖い時もあるし後ろに般若が見える時もあるし……意地悪だし。
でも飴をくれるから結果的いい人なんです。
 

「ぁ、う」
 
「…っくく」
 

精市くんに言いつめられてまた涙腺が緩み始めたとき、精市くんが笑い始めて後ろの部室の扉から顔を出して笑ってる丸井くんと切原くん。
ここの部活は意地悪なひとばかりなんですか?
 
ちらっと上を見れば精市くんおなか抱えて笑ってるし。








だから助けを求めに、
 








「あっはは!ひなっ、ごめ………あれ?」
 





「…っひろくん」
 
「わっ!…ど、どうしましたひなさん?」 
 
「せ、ぃいちくん、が……ぅー」
 


ひろくんのもとへ行きました。
 

真田くんとお話してたところだったけれど、後ろからタックルしたのでびっくりした様子。……当たり前か。
幸村くんのところからダッシュ、とも言わないだろう小走りでひろくんのもとへ行きました。
 


ざまあみろです精市くん。
 


「…はぁ、またですか幸村くん」
 
「幸村…」
 

そういって頭を撫でてくれるひろくんとあきれる2人。
正確には柳くんもなんです、丸井くんも切原くんもなんです。
 

「ごめんねひな、つい意地悪を」
 
「ついじゃありませんよ、まあ可愛いからしたくはなるんでしょうが」
 
「柳生にもわかる?」
 
「ええ」
 

な、なんなのこの2人…!
ひろくんもちょっと疑うようになりそうです、…でも嘘だよね絶対、そんな馬鹿な。
 

「俺にはわからん」
 
「真田はいいんだよ、わからなくて」
 
「そ、そうか?」
 





真田くんが正しいんですよ。
精市くんが間違ってます。
 

 









(………ばかあ!)
(…え?ちょ、ひなっ)
(あっはは!幸村どんまいだぜぃ!)
(ぶ、っちょおっぷははは!)
 
 

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