氷姫

□傷心
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「ずいぶんと精が出るわね」

ヒスイが戦場から帰って早一年。近くの演習場では毎日毎日修業に励むヒスイの姿が見られた。
時折深雪も顔を出す。

戦場から帰ってからヒスイはずいぶんと落ち込んでいたが、ある時吹っ切れたようで修業に勤しみだした。

「ね、母上。こんなんでどうかな」

ヒスイはくるくると空中に鎖鎌を飛ばし、普通なら切れないようなところまで刃を飛ばして見せた。

「すごいわ。ヒスイは分家にいるには惜しいわね。嘉宮の家に行くか本家に行くか、先生についてもらった方が良いんじゃないかしら」

「ん〜そうなのかな。明日はイタチと修業するんだよ」

「え?本家の?」

「そう。前約束してたんだけど戦争になっちゃったからさ」

「それは良かったわね。失礼の無いようにするのよ」

もちろん!とヒスイは元気に答え、またくるりと鎌を回した。



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「イタチー!お待たせー」

ヒスイの声にイタチは振り向いた。自然と笑みが浮かぶ。

「シスイさん、今日は何やるんですか?」

「“瞬身のシスイ”のシスイさん?」

「そう。知ってるんだ。あ、ヒスイちゃんは覚えてないか。この前野戦病院で会ったんだけど。オレはシスイ。ご覧の通りうちは一族だよ。よろしくね」

「会ってたんですね。覚えて無いです…。あ、よろしくお願いします」

「固くならなくていいよ。今日はそうだな〜いつもより人数多いしチャクラ性質を調べた後演習にしようか」

まるでお兄さんみたいな人だ。

ほい、と紙を渡された。

「それにチャクラを集中させてごらん」

ヒスイはじっと紙を見つめた。やがてピシッと縦2つに切れ、ぐにゃりと萎れていく。それを見てシスイは小さく息を呑んだ。

「風と水…もう2つの性質を持っているんだね。へぇ風かーお母さんの血かな」

「シスイさんとイタチは?」

「オレは火だったよ」

「オレも」

「ふぅーん」

なんだ。イタチと違うのか。イタチは火で私は水。風は火を助けるけど水は弱める。なんなんだろう、私は。
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