火雲

□憧‐U
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玄関のチャイムを聞いて、あやみとサスケはほぼ同時に顔を上げた。
そして競うようにして廊下を走った。

「「兄さん、おかえりなさい!…?」」

「ふははっイタチ、お前の弟妹は相変わらず可愛いな!まるで豆鉄砲食らった鳩みた…くくく」

「シスイさん、笑いすぎです。あやみ、サスケ、コレはシスイさんだ。覚えてるか?」

「「…………………?」」

「コレとか言うなよ。オレは2人がまだ赤ん坊だったころよく来てたんだ。にしても2人とも本当に可愛いよ!そんな君達にプレゼントだ♪」

きょとんとしている間に頭の上でスカーフを結ばれ、腰をポンと押さえられる。
同じことをされたサスケを見てあやみはふき出した。

「ぷっ…サスケ、ウサギみたいっ」

「う、うるさい!あやみだってウサギだぜ!!」

サスケも顔を真っ赤にして、あやみを睨むように言い返した。

確かにどちらも、白いスカーフは頭上できれいに広がってウサギの耳のようだし、腰の後ろにつけられた白いポンポンはウサギの尾のようだ。

あやみは一通り自分の身体を見回してから、ふと兄を見た。

イタチは頬をほんのり紅に染め、あらぬ方向に目をやっていた。

「ねぇシスイさん、兄さんの分は無いの?」

「そうだよ、オレ達だけなんてズルいよ。兄さん達もするでしょ?」

「ふふふふー言うと思った!この通りちゃんとある。さぁイタチ、可愛い弟妹がお望みだ。拒否権は無いぜ?」

「え?」

あっという間にイタチにスカーフの耳とポンポンの尾が生えた。

「わぁっ兄さんとお揃いだよ、サスケ!」

ぴょんぴょん跳ねて喜ぶあやみを本物のウサギのようだと思いながら、イタチは薄い笑みを浮かべ、「イタチがウサギ…ウケる」と笑い転げているシスイに片手を差し出した。

「さぁオレもウサギになったんです。シスイさんもウサギになってくれますよね?」

「え?あは…スカーフ3つしか無かったからオレは遠慮しとこうかなーなんて…」

シスイがイタチからさりげなく距離をとりながら、言い訳にならない言い訳をする。
イタチはにっこりと笑うとポーチからブツを取り出した。

「こんなこともあろうかとオレの方でもう1セット用意しておきました。遠慮はいりません」

イタチが手にする白いスカーフとポンポンを見た瞬間、シスイの動きがビシリと止まる。

「シスイさんもウサギになったらみんなお揃いだね!」

「ほら、うちの可愛い妹も望んでますよ?」

そう言いながらイタチが1歩足を踏み出す。

「逃げるが勝ちィ!!」

ぼふんと白煙を上げてシスイの姿が掻き消える。
イタチは笑顔のままあやみとサスケを振り返った。

「あやみ、サスケ、シスイさんを捕まえるぞ」
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