火雲

□憧‐V
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「兄さん、今日も任務?」

「あぁオレが隊長のDランク任務だ。すぐに終わるよ」

「私も一緒に行っちゃダメ?」

サンダルを履いていたイタチは驚いたように後ろを振り返る。いつの間にか出発の準備を整えたサスケとあやみが並んで立っていた。

「オレも連れていってよ」

「Dランク任務ってことは人間との交戦は無いんでしょ?足手まといにならないように頑張るからさ!」

口々に言い募られ、イタチは思わずこめかみに手をやった。

「確かに人間との交戦は無いが…」

その言葉にあやみは跳び跳ねた。もう連れていってもらえるのは決定事項だとでもいうように。



―――――――
―――――
―――



「罠セット完了!いつでもいけるよ!」

「よし!行くぞ!」

そうしてこの結果である。
彼らは畑を荒らすイノシシと対峙している。

結局押しきられて弟妹を連れてきてしまった。
彼らの…特にあやみの押しへの自分の弱さに自嘲し、イタチは部下であるサスケに命を下した。

「急所は外せ」

「分かってるよ。見てて!」

サスケは弓を引き、狙いを定めた。

向こうではあやみが罠を張って待ち構えている。サスケの矢はイノシシを走らす引き金だ。

弦を弾く音と共に矢が勢い良く飛び出した。

「!!」

矢の軌道を写輪眼で瞬時に見切ったイタチは思わず顔をひきつらせた。

矢は弧を描いてイノシシのわき腹をわずかに掠める。
痛みによる暴走を誘うには僅かすぎる傷。
イノシシは最も恐れていた方向へ進路をとった。
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