火雲
□憧‐X
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「くノ一たるもの―」
先生の話を聞きながらサクラはチラリと隣のノートを盗み見た。
そこにはびっしりと授業の下調べの成果が書かれ、疑問点もピックアップされていた。
「先生、忍部隊を男女に分け、くノ一が潜入捜査をするメリットに『口を割らせやすくする』というのがあったのですが、それは幼いくノ一にも言えることですか?」
隣の女子―あやみ―が挙手して質問する。
受動的に聞いているだけでは気付かないようなことにも気付くあやみはサクラにとって憧れだった。
授業後も残って先生に質問するあやみを待ち、先生に一礼してこちらに体を向けた彼女にサクラは声をかけた。
「次は手裏剣術の授業だよね。一緒に行こう!」
「サクラ!待っててくれたの?ちょっと待ってて、すぐ支度するから」
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「春野サクラ4!自己新おめでとう」
「はい!」
今やっているのは手裏剣術のミニ実技試験だ。10個の手裏剣を投げて記録をとる。その的中率が成績に関わってくるのだ。
「次!うちはあやみ!」
「はい」
「あやみちゃん頑張れーっ」
名前を呼ばれ、手裏剣を構えた瞬間、あやみの醸す空気が変わる。
すっと目が座り、手裏剣が手から離れる。瞬きひとつの間をおいて的に手裏剣が刺さる音が響いた。
「うちはあやみ9…いや10だ!!すごいぞ!!」
担当教師が興奮した声を上げ、周りの生徒からは喝采の声が沸き上がった。
「あやみちゃんすごーい!百発百中じゃない!!」
「カッコいいー!」
あやみはニッコリと笑うと彼らに小さく手を振った。
「ありがとう。でも全部当たったのはたまたまだよ」
「運も実力の内だぞ?これからも頑張れよ!はい、次、うちはサスケ」
「サスケくぅーん頑張ってー!」
「あやみ、絶対負けないからな」
「ふふふー頑張ってね、サスケ」
クラスの女子たちの黄色い歓声の中、サスケとあやみが静かに火花を散らした。