火雲
□憧‐Z
1ページ/3ページ
「眠れない…」
長期休暇1日目をそれなりに楽しく過ごし、疲れも溜まっているはずなのに寝つけない。
両親はすでに会合に行ってしまってるし、兄もずっと前に家を出ていった。
今家にいるのはサスケだけ。隣のそのサスケの部屋からは気持ち良さそうな寝息が聞こえてきている。
何をするでもなく一昨日の父と兄の会話を思い出し、反芻する。
「なにがどうなってるんだろう…。最近集落の近くでよく暗部見るけど…何か関係あるのかな…」
あやみは玄関の扉が開く音で現実に引き戻された。
「うそ、もう帰って……もうじゃないか」
時計を確かめると短針は3を指し示している。
それからまたしばらくゴロゴロして…やはり眠れなかった。
窓から外を眺めると東の空が白み始めている。
思わず半目になりながら空を眺める。
この時間になっても眠気ひとつ感じないのはどうした訳だろう。
「ここまできたらもう完徹だな。よし、散歩でもしてこよう!」
誰に言うわけでもなく宣言すると、あやみはそっと窓を開け、外に飛び出した。
「んー…空気が冷たくて気持ち良いな〜」
のんびり南賀ノ川沿いを歩く。川から吹いてくる風が冷たくて気持ちよかった。
川に浮かぶカモを目で追いながら散策するあやみの視界にカモよりはるかに大きな、奇妙なものが映った。