天華

□荷葉
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「真木様、お願いします!」

「真木様、こちらも!!」

「分かった、すぐ…行くから」

真木を呼ぶ声に返しながら怪我人にスッと手を触れる。

次の瞬間、怪我人はビクリと跳ね、うっすらと目を開いた。

「とり…あえず大丈夫そう…ね?また来るか…ら」

抑えきれない九尾のチャクラは真木から常時溢れ出していて、彼女の近くにいるだけでもその影響は少なからず受ける。
九尾チャクラが真木を通る間に生命エネルギーという形に変換されているから害は無い上に、彼女が触れれば、触れた先へ彼女の制御すら不可能にエネルギーが移動していくから、触れられた者の回復力は当然高くなる。

そういうメカニズムの治療法だ。

今回相手取っているうちは一族はさすがに手強く、怪我人の数もいつもの比ではない。
もう夕方だが、朝から食事も摂らずに治療を続けているというのにまだ終わりが見えてこないのだ。

制御不可能にエネルギーを渡してしまう真木の治療法はみるみるうちに彼女のチャクラを削っていった。

「(っ…九尾、大人しくしていて!アナタはチャクラだけくれれば良いの…!)」

尾獣はチャクラの塊だというのに、なぜ九尾はさも感情があるかのように封印の檻を開けようとするの?

九尾が腹の中で荒れ狂っているのに気付き、真木は歯噛みした。

いまだに九尾が制御できない自分が悔しくてしかたない。
ふと、己の手の甲から浮かび上がり始めた橙色のチャクラに真木はサッと顔色を変え、立ち上がった。
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