天華
□青糸
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「おお、仏間殿、よくいらっしゃいました。ぜひこちらへ。これはうちの娘のミトと申します」
マダラと最後に会ってから数年経ったある日、真木と柱間は父に連れられて、うずまき一族の陣営へと来ていた。
「今回は無事同盟成立へうまく運びましたな。これは息子の柱間と娘の真木です」
正式に同盟を結ぶにあたっての打ち合わせのために、前回は千手側での会合だったため、今回はうずまき一族を訪問したのだが、今日はうずまき一族の族長の横に、真木達より少し年下の赤髪の少女が立っていた。
「ミト、柱間殿と真木殿のお相手を」
「はい。柱間さま、真木さま、こちらのお部屋へ」
少し人見知りなのか、ミトは仄かに頬を染めながら2人を誘った。
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「ミト殿はこう…将来の夢というか世界の理想みたいなものはお持ちか?」
「ミト殿などと…ただミトとお呼びください。敬語も必要ありませんわ。そうですね…誰も争う必要のない世があればと…叶うことはないでしょうが…」
「そんなことはないぞ!」
「え…?」
「例えば今回うずまき一族と千手一族が同盟を結び、人々が互いに相手を理解し仲良くなれたら両族間で争いは無くなる。それを他族にも広げていけば、時間はかかるだろうが争いの無い世界はできていくんじゃないだろうか」
柱間の主張にミトは2、3度目をしばたかせた。
そりゃあ初対面の男にいきなり力説されたら驚くだろうし、引くだろう。
真木はそう解釈したのだが、実際は少し違ったようだった。
「そうですね…!なぜ思い至らなかったのでしょう。実現したならさぞや素晴らしい世界になりますね。微力ですが是非私にもお手伝いさせてください!」
「ミトの協力が無くては実現は不可能ぞ!共に頑張っていこう」
「はい…!」
柱間がミトの手を自身の手で勢い良く掬い上げて包み込み、ミトは僅かに顔を上気させながら瞳を煌めかせる。
すっかり意気投合している2人を真木は穏やかに眺めやった。