山紫水明
□捌
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「あら先生、お帰りなさい。その方達は…皆ひどい怪我じゃない!さ、早く入って入って」
出迎えてくれた女性が忍達を家に招き入れる。
再不斬と白、カカシ、サスケの4人は治療に連れていかれ、居間にはナルト、サクラ、雲居の3人だけが取り残された。
「…さっきはごめんなさい。私ひどいこと言って…」
「敵同士だったのだから仕方ないわ」
「私は春野サクラ。名前、何ていうの?」
「私は雲居。よろしくね、サクラ、ナルト」
「よろしく」
「よろしくだってばよ。でさでさ、雲居ちゃんってば何歳?」
「13よ」
じゃあ1歳上なんだ、とナルトとサクラの声が揃う。2人の目は好奇心に輝いていた。
「オレさ、里から出たことねーんだ。霧隠れの里ってどんなとこ?」
雲居はふと考え込んだ。どんな所なのだろう。ずっと邸内にいて、里に出たのは白に抱えられて邸を出たときだけだ。
「そうね…霧が立ち込めていてとても涼しい所よ」
「えっそれだけ?」
「………私…里に出たことが1度しかなくて…」
「「霧隠れの忍じゃなかったの!?」」
顔が上気した。里長の娘が、次代の里長になるのだと言い聞かされてきた“姫君”が里抜けのとき初めて里に出た、なんて笑止千万だ。
なんと言おうか考えあぐねていると、治療を終えたらしい女性―ツナミさんというらしい―がひょっこり顔を出した。
「お昼ご飯にするから準備を手伝ってくれる?」
3人は立ち上がり、ツナミの後を追って台所に入った。