暁雪
□深紅
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「姉さん、頼む!」
深々と頭を下げるサスケを前にヒスイは困っていた。
時を遡ること10分。
――ピンポーン
「はいどなた?ってサスケじゃん」
サスケの忍者学校卒業を機にヒスイは元うちは家の住居へ引っ越していた。前に会ってまだ半月位しか経っていないというのに、玄関先に立ったサスケは随分と成長して見えた。座敷に通し、簡単な挨拶を交して今に至る――
「や、だからさ、何がどうなってこうなったの?」
「この前の任務でオレは同じぐらいの年でもオレよりずっと強いヤツがいることを知った」
そりゃそうだろうよ、とヒスイは心のなかで呟いた。波の国で何かあったんだろうけどイタチだってカカシさんだってあんたよりずっと強かったらしいし。
「そこで姉さんに修業をつけてほしいんだ」
「・・・まずカカシさんに頼んだら?」
「カカシより姉さんの方が強い。嘉宮の氷遁の血も引いてるしな」
この子は先生を何だと思ってんだろ・・・小さく溜め息をつき了承を伝えた。
「で・・・具体的に何の修業がしたいの?」
「実戦中心で写輪眼と火遁の修業をつけてほしい」
ヒスイは内容を聞いてから了承すれば良かったと後悔した。ヒスイのチャクラ属性は水と風。父方のうちはの血を継いでいるはずなのだが火の属性は無い。もちろん上忍だから火遁も扱う。しかし水と風と氷の扱いは一級品でも、火遁は上忍の中程といった実力だ。サスケはそのヒスイに"火遁"をさらりと要求してきた。
「実戦と写輪眼は受け付けるけど火遁は・・・」
「術そのものじゃなくていい。応用を教えてくれ」
「う・・・ん・・・」
ヒスイは結局押し切られる形となってしまった。サスケに引っ張り出されるようにして近くの森に到着する。