暁雪
□青嵐
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共をつけてカカシを送り出し、息を吐くと奥へ入った。
「カカシさんか」
「うん。陰隠れも返り討ちにした。疲れた…」
そのままことんとイタチに寄りかかった。イタチの優しい香りがふわりとヒスイを包み込む。ごく軽くイタチの手が頭を撫でた。
「陰隠れを…」
「今湯隠れに使いを出して配下に入るよう交渉させている。あとは夢隠れを落として…」
「ヒスイは…いつまで戦い続けるんだ?戦争ばかり…。ヒスイだって呪術を使い続ければ反動が来るぞ」
「…私はいいんだよ。夢を落としたら音を落とす。それで終わりにする」
「あぁ。それでやめにしとけ。戦争は醜い。それはお前も身をもって知っているだろう」
ヒスイはあえて答えなかった。ヒスイやイタチが四歳で参戦させられた第三次忍界大戦は2人の心に大きな傷を残した。
イタチも辛かっただろうが、ヒスイはそこで父を失ってしまったことにより「醜い」の許容範囲を超えてしまったようだった。
イタチの気持ちは分かるし、ヒスイ自身特別戦いが好きなわけではない。それがヒスイ―羽隠れの里の戦い方に如実に出ている、とヒスイは自分で思う。
他里から見たらかなり甘いはずだ。極一部の上層部のみに手を出し、一般の里民や忍には決して手を出さずに組織ごと自分の里に取り込んでしまう。
木の葉の里の様に里長が里民に慕われている里は攻めない。双方に多くの被害が出るし、仮に落とせても内乱の原因になってしまう。
その上で周囲の里に圧力をかけ続けるヒスイは本物の「侵略者」なのかもしれなかった。
「…ヒスイ?」
イタチの肩にずしりと重みが加わった。
見れば寝息をたてている。イタチはそっと額に口づけた。