ウタタネ
□はんぶんこマフラー
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Lは唇に人差し指をあてて、珍しく真剣にテレビを見ていた。
そしてわたしの顔を見て、画面に向かって指を指した。
「私もほしいです。編んでください」
突然そう言われた時は本当にびっくりした。
だってLがマフラー?しかも手編み?
手編みって重く思われるんじゃないかって、今まで避けてたんだけど。
でも本人のリクエストだもの。
わたしは時間を見つけてはせっせとマフラーを編んだ。
「このくらい?」
長さを合わせるために、何度かLの首に巻いたけど、そのたびに「もっと長いのがいいです」って返された。
だからわたしは編んだ。ひたすら編んだ。
真っ白なマフラーは、天の川のように長くうねって重なっている。
ほんとにこんなに長くていいのかな…
そう思いながらも、Lがいいって言うまで意地で編み続けた。
「そのくらいかもしれません」
やっとオーケーが出たから端を閉じてLに渡した。
Lは子供みたいに喜んで、すぐに首にかけた…けど、案の定、長すぎる。
背の高いLですら、両肩から流れたマフラーが床に届きそうだった。
「やっぱり長すぎるんじゃない?」
わたしがそう言うと
「いえ、これでいいんです」
そう言って、左右の長さをずらすと、長くした方をわたしの首にふわりと巻いた。そして、少し照れたように小さく笑った。
「ほら、ぴったりです」
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