Doll《自由を許されない少女》

□ex
1ページ/3ページ

「ここよ。」
深雪さんの車に乗り、たどり着いたのは何の変哲も無い普通の一軒家だった。

「ここは?」
「ここは、前に話したあの子が住んでる…と言うより居候している家よ。」
私の質問に答えながらインターホンを押す深雪さん。

やがてインターホンのスピーカー越しに反応があった。
「はい、どちら様ですか?」
「私よ、深雪。」
「はい…。パスは?」
「彼女達の、私たちの平穏のために…でしょ。」

意味の分からないやり取りの後、玄関が開く。
「お久しぶり…でもないですね。」
「ええ、そうね。一昨日会ったばかりだし。」

中から出てきたのは若い…いや若すぎる。
私とあまり年齢が変わらないんじゃないかと思う男性の姿だった。

そして…。
「深雪お姉さん。」
まるで中学生のような幼さと大人っぽさの中間みたいな子が。
私の良く見知った子がこの家の主、あの若い男性の後ろから姿を現す。

「美紅…。」
私にとって妹みたいに大切だった子。
私が最も会いたいと願っていた子が現れた。

「優稀おねえちゃん?」
美紅は私に気づいて目を丸くする。
美紅の言葉を聴いた男性も目を丸くしてから
「取り敢えず家の中で話しましょう。何時までも外に居るのはまずいですから。」
と私たちを家の中に招き入れた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ