Doll《自由を許されない少女》

□終わりの朝
2ページ/7ページ

あれから、どのぐらいの時間が経ったのだろう。
人目につかないようにずっと路地裏を歩いていたんだけど
気が付くと民家が軒を連ねる表の道に出ていた。

帰還地点ってどこだったけ・・・。
壁に寄りかかりながら歩き、朦朧とする意識の中で彷徨うようにここまで来たけど・・・もう駄目だ・・・限界だよ・・・。

足の力が抜け、その場にゆっくりと崩れ落ちる。
あぁ・・・私はここで死ぬんだ・・・、と朝焼けに染まる空を見上げて考えていた。

この傷ならいずれ時間が経てば死ぬ。
死に急ぐ必要はない・・・。
組織でお決まりの緊急の場合の自殺をする手間が省けてちょうどいいや。
私は冷静に、自分の死を受け入れていた。
まぁ、受け入れなきゃいけないんだけどね。


そっと目を瞑り、消えそうな声で歌を口ずさむ。
あの施設内で、仲の良かったあの子とよく歌った歌を・・・。

その子は施設内で初めてできた友達だった。
そのあの子も今は施設にはいない。
別に死んだわけじゃない、施設から脱走しただけ・・・。
それを聞いた時、なんて馬鹿な真似を・・・て思った。
でも本当は、内心羨ましかった。
できれば私も一緒に連れて行って欲しかった。
大好きなあの子と・・・私にとって大事な、妹みたいだったあの子と一緒に・・・。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ