Doll《自由を許されない少女》

□ex
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「で、深雪さん。この人は?」
私と深雪さんにお茶を差し出しながら家の主は質問を口にする。

「この子は優稀。美紅と同じ施設の子よ。」
深雪さんが簡潔に私の事を説明する。
「ええ、それは美紅がお姉ちゃんと呼んでたのでそうなのかなと思いました。」

この男性もさっきの美紅の言葉である程度のことは察したらしい。
「そう。なら話は早いわ。」
そう言って、深雪さんは一拍間をおいて
「この子もここで匿って欲しいんだけど頼めないかしら。」
本題を切り出した。

男性は少し悩むような表情を浮かべる。
それもそうだろう。
いきなり来て、ここに住ませて欲しいなんて無理がある。

「どうかな、蓮くん。」
男性は蓮と言う名前のようだ。
深雪さんの問いかけに蓮さんは顔をあげ・・・
「はい、いいですよ。」
あっさり承諾した。

「え…あの、いいんですか?」
思わず私は確認するような言葉を発する。
話しがうまく行き過ぎていて不安になったからだ。

「ええ、もちろん。今更一人や二人増えたって変わらないし。」
「助かるわ。じゃあお願いするわね。」
「はい。」
私が呆然としている間に、私もここに居候することが決まった。
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