novel
□紫苑 誕生日の巻き
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「あれ、今日ってもしかしてあんたの誕生日?」
「…そうだけど?ネズミ、まさかだとは思うけど、忘れてたりした?」
「え?…そんなわけないじゃん」
――――ガチャ
「しおーん!今日誕生日だろー?おめでとー!」
「イヌカシ!来てくれたんだ、ありがとう。それに…力河さんまで…」
「おう、紫苑。これ、ちゃちなものだけどおれからのプレゼントだ」
「わぁ、プレゼントまで…ありがとう力河さん」
「なあに、当然のことじゃないか」
「うん…そうだね、どっかの誰かさんと違ってね」
「(ぎくっ…)な、なぁ紫苑?おれは別に忘れてたわけじゃなくて」
「…じゃあなに?」
「(怖いこの人…)…それは、…あんたのことずっと考えてたら、毎日幸せで…あんたといるだけで満たされてたから…だから」
「ネズミ…」
紫苑がネズミにきつく抱きつく。
「おい、どうしたん」
「もうそれ以上言わなくていい…」
「は?」
「気持ち、伝わった。もう充分伝わったから…。ありがとうネズミ」
「…ふ、はは。あんた、単純だな」
「単純でいい」
「はいはい」
「…おーい。おまえさんたち、おれらの事わすれてねえか?」
「完全に空気だったな、おれたち」