ブック2

□導かれるままに1
3ページ/17ページ

やっと爺さんの長い話が終わり、式次第が生徒会長挨拶とやらになった。


これまで静かだった講堂がざわつき始める。

「オッ、いよいよ生徒会長様のおでましか」

中山がなぜか興奮気味だ。

「何か特別なのか?」

「えぇ〜、洋希知らねえの?ここの会長っていえば学園で理事長の次ぐらいに権力握ってんだぜ」

今度は得意げに中山がまくしたてる。

が、話の内容は全く腑に落ちない。

「マジかよ。17かそこらの生徒に権力握らせんなよ、絶対ロクなことになんねーだろーよ」

「それがそんなことないってのが、歴代会長たちの凄いトコなんだろーなー。現に我が凰堂(オウドウ)学園は、名門の名に相応しく表立った不祥事もなく、偏差値・知名度ともに最高級を保ってる。それはやっぱ会長がしっかりしてるってのも一因だしな」

腕を組みながら中山がウンウン唸っている。

「まぁ確かに。すごい奴なんだろーな、せーとかいちょー様は」

まぁ大して興味もない。どうせ俺とは別次元の人間だ。

「文武両道。才色兼備。質実剛健。つまり頭良しスポーツ良し。ルックス良し。現生徒会長はあの菱菱財閥の跡取り息子らしいからね。しかも抱かれたいランキングNo.1!」

「うわっ、まじでそんな奴この世にいるんだ。……って、何その抱かれたいなんちゃらって」

「えっ!?お前それも知らねーの??だからこの学園は
「「「「「きゃーーーーー!!!!」」」」

突然、講堂内を黄色い悲鳴がつんざいた。


「うっせ…」


恨みがましい思いで俺が壇上に目を向けると、そこには確かに背筋のピシッと伸びた美しい男が、悠然と現れていた。



.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ