ブック2

□導かれるままに1
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教室までの道を中山と二人で歩く。

そう、運の良いことに中山とは同じクラスだったのだ。


なんか中山って、中学ん時仲良かった水城(ミズキ)に雰囲気が似てるから、安心して話していられる。

周りはみんな敵だと思っていた俺の恐怖を、ぶち破ってくれた水城。

あいつ元気かな。

水城の猛烈な反対を押し切ってここを受験した俺のことも、水城は不服そうながらも優しく送り出してくれた。


そんな水城と中山が似てるから、俺は初対面でこいつと普通に会話できるんだろうな。


気さくで、裏表がない。
飾りのない友情を、俺に向けてくれる。



こんな俺をダチだと言ってくれる。

いつも怯えて、人を信じることができない、罪深いこの俺に。







「洋希って気づくと難しい顔してる」

出会ってから数時間も経っていない中山に、もうそんな指摘をされてしまう。

「俺、根暗だからね」

俺は真実を言ったのに中山は、

「えぇ〜、そんなイケメンで何が根暗よ。おもろいこと言うね」

と穏やかに笑う。


この、サクッとしてて、軽く流してくれるところが最高に居心地良い。

でも、
「俺が?イケメン??お世辞なんて言うなよ。疲れるだけっしょ」

お世辞なんて、なんか中山らしくない。
思ってもないことは言わないで欲しい。

嘘とか表面だけの言葉とか、俺にはそういうものが一番怖い。
母さんの言葉を思い出すから。



「ヒロキ君、無自覚ですか」

「はあ?何が?」

「ううん、こっちの話」


あ、ため息なんてつきやがって。


ん?でも今みたいな会話昔水城ともしたような気がする…けど…気のせいか。





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