main〜長編〜
□諦めと希望@
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リング戦が終結してから2週間程過ぎた頃、XANXUSが目を覚ました。
『XANXUS様が目を覚まされました!家光様を…』
XANXUSはハッキリしない思考を必死に手繰り寄せた。
「(あぁ…俺はまた情けを掛けられたのか)」
動くのは脳と目だけ、声も申し訳程度には出た。身体は動かなかった。
カラリ…
ドアの開く音がする。目線を向けると先程呼ばれていた人間が居た。
思わず目を細めていたXANXUSに家光は苦笑していた。
「嫌そうな顔するなよ。お前はまだ絶対安静だ。それと、まだお前達の処分は出ていない。よし!俺は様子を見に来ただけだし、報告に行ってくる」
意気揚々と病室を出て行こうとする家光にXANXUSは掠れた声で呼び止めた。
「お゛ぃ…だ…れに…だ」
家光は振り向き、満面の笑みで言う。
「ボンゴレ9代目にきまっているだろう?あの回復力には驚いたね…もぅ車椅子で移動して退屈しのぎまでしている。」
ヤレヤレと言った表情で、家光は出て行った。
一人残された病室でXANXUSは自分の黒く濁った感情が薄れていることに気がついた。
何かスッキリしたような…清々しいような…全てを受け入れたような虚無感。考えなければいけないことがある、カスやヴァリアー幹部の今後。しかし、何か暖かいものに包まれた心情にXANXUSは思考することを辞めた。