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□頂き物
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『初恋』
姫椿/餡蜜様(沖銀)
『初恋』
興味があった。
旦那に。
土方さんが好きになった人に。
死んだ魚の目。
綺麗な銀髪。
マダオの糖尿病。
落としてみるのも面白い。
そうしたら、土方さんの地団駄を踏む姿が見られるかも知れない。
最初はその程度のことで、単なる暇潰しの一種だった。
「あ、沖田くん」
往来を歩いていると良く知った声が背後から聞こえてきた。
振り返れば、旦那が白い息を吐きながらつっ立っている。
「今日は一人なんですかィ?」
「うん。神楽なら家にいるけど」
「別にチャイナのことなんて聞いてないでさァ」
言えば旦那はポリポリと頬をかきながら「そう?」と呟く。
「旦那こそ、土方さんに会えなくて残念ですかィ?」
「へ?」
目を見開いて「何で?」なんて聞いてくる辺り、土方さんに脈はなさそうだ。
まぁ、俺も土方さんに同情してる場合じゃないんですけどねィ。
この綺麗な人を落とすのは些か難題だ。
「……沖田くんってさ、神楽と多串くんどっちが本命?」
不意に聞かれた言葉。
どっちも好みじゃないですがねィ。
「……旦那は、どっちだと思いますかィ?」
「………神楽…とか?」
少し眉を寄せて痛い顔で言うものだから、こっちまで胸が痛くなってきた。
「違いまさァ」
「……じゃあ、多串くん?」
「……男になんて興味あったら変態でィ」
言えば旦那は痛々しく顔を歪めた。
震える唇。
もしかして、この人。
あぁ、降って沸いた思考に苦笑いする。
旦那は男でも特別だなんて。
顔がにやけてたらどうしようか。
「旦那、俺の横はいつでも空いてますからねィ」
(暇潰しの筈がいつの間にやら初恋)
END
餡蜜様からの相互記念で頂きました☆
唇が震えてる銀ちゃんがとっても可愛いらしく、沖田君の横空いてます発言にクラクラですっ(#^.^#)
餡蜜様!素敵な小説有難うございました!m(__)m