純情ロマンチカ
□君がいない世界の色は……
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俺の世界は無くなった。
否、世界から色という色が無くなった。
何故なら………ヒロさんが
死んだからだ。
一週間ぶりに家に帰れた。
この時はすごく嬉しかった。ヒロさんに会えると思ったから。
玄関を開けてリビングに上がったらそこには――――
床に伏せるように青白い顔をして倒れていたヒロさんがいた。
俺は急いで駆け寄った。携帯を取り出して津森先輩に連絡して救急車を手配してもらった。
そして、病院に着いてから多くの検査をした。その間も意識を取り戻す事は無かった。
数日後、ヒロさんに異変が起きた。
早朝、ずっと付きっきりだった俺の耳に緊急を表すブザーの音が鳴り響いた。
元々弱くなっていた脈がついに止まってしまった。
ナースコールを入れて、何とか蘇生させようとしたが駄目だった。
その直後、俺の世界から色が失われた。
ヒロさんの『死』は俺の世界を粉々に砕いた。
俺は気付かない内に涙を流していたらしい。
白いシーツに染みが出来ていた。その染みが自分の流した涙だと理解した途端に、どっと溢れるように流れ始めた。
しばらくしてから、俺は泣き止んだ。
ずっと隣にいた津森先輩が俺に話しかけた。
内容は慰めと追悼だった。
けれど今の俺の耳には何も入ってこなかった。
ぼーっとした意識のまま帰宅した。
ずっと無人だったせいか、冷たく暗い部屋には未だにヒロさんの匂いが残っていた。
よろよろとした足取りで向かったのはヒロさんの部屋だった。
起きたままのベッド、積み上げられたいくつもの本……
そして部屋に残るヒロさんの匂いは俺の涙腺を刺激した。
そして、ベッドに突っ伏して俺は意識を手放すまで泣き叫んでいたのだった。