君らの事が大好きな私。
□1・新たなスタート!
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時間は、夕方となった。
空港は、中の電気のせいで夕日の明かりが入ってこないのが少し残念ね。
パパから貰ったある情報が入っているA4サイズの封筒を胸にかかえ、パパの顔を見る。
理事長「本当に1人で行くのかね?」
夏「ええっ。私…、誰かの為になにかしたい。こんな気持ち、初めてなんですもの。それに……これが事実だとすれば、円堂君の運命は大きく変わるでしょう……。」
理事長「そう言うと思って、その事についての資料を入れておいた。」
夏「ありがとう。」
理事長「……言わなくて良かったのか?蓮ちゃんに行ってくると……。」
夏「……言ったら、寂しくなってしまうわ。」
理事長「言われない方が、悲しいぞ?」
夏「えっ……?」
『なーちゃん!!』
向こうから、息を切らしながら走ってくる親友の姿が見えた。
夏「蓮っ…!?」
私の前まで来ると、疲れたのか両膝をついてしまった。
夏「なんで……どうして!?」
『えっ、円堂と……秋から……きっ、聞いて……相棒使って…きた……!!えへへっ…!』
夏「まったくもう…あなたは本当に……!!」
何故か、涙が出そうになった。
私はカバンからタオルを出し、蓮の汗を拭いた。
『なーちゃん、行ってらっしゃい!!』
あの子は、笑顔だった。
夏「ええっ……!!行ってくるわ…!」
『僕の代わりといっちゃあなんだけど……、』
蓮はポケットから何か取り出した。
『はい!』
それは、四つ折りになった紙だった。
私はそれを受け取った。
夏「これは……?」
『お守り!!なーちゃんの目的が達成できますようにって!』
夏「ありがとう。行ってくるわね。」
『行ってらっしゃい、夏未。』
飛行機に乗る頃には、空は黒と紫のグラデーションへと変わっていた。
窓からそれがよく見える。
さっそく、私はあの子から貰ったお守りを広げた。
お守りは、あの子がよく使う空の模様がプリントされたメモ帳だった。
文を読み、思わず笑みが零れる。
夏「まったく……あの子ったら。漢字間違ってるわよ。」
安心して、旅に行けるわ。ありがとう、蓮。
『なーちゃん……僕、本当は悔しいよ。』
行かないで、とは言えない。
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