猫科悲劇

□猫科悲劇:2
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「ホント,マジで誰か来ねぇかなァ〜…」

こんな姿見られんのは
はっきり云って恥ずかしいけど,
そんなこと言ってられなくなってきた。
ここに登って,降りれなくなって,誰か通るのをひたすら待って俺の手足はどのくらいねばっただろう。
さすがにしんどくなってきた。
つ−か,疲れた。






それにしても
最近の俺は変だ。



2日前に俺は突然猫のらしき耳と尻尾が生えちまった。原因はさておき,自然と元に戻るだろうとあまり深く考えていなかったが。
けど,日を追うごとに症状は悪化,猫化が進んできているような気がしてならない。

確かにガキの頃は木登り得意でよく木に登って遊んでいたような気もしなくはないが,木を眺めてただけで無性に登りたくなったりとかそんなことは今まで全然なかった。

それだけじゃない。
庭に来る鳥や山崎が飛ばすミントンのシャトルを見ただけでもう,うずうずして堪らなくなる。
畳の目やいい感じの柱を見ると爪を立てたくなってしょうがない。(猫にしてみれば爪磨ぎしたくなる衝動なのかねィ?)


今回,我慢ならずにやってしまった結果がコレだ・・・。








と,その時。

「おい,お前は仕事さぼってそんなとこで何やってんだ。」
一番来なくてもいい相手が来てしまった。

「ぁ、土方。」

「呼び捨てにすんじゃね−よ。てゆ−か,外に出れねぇから中で出来る仕事渡しただろうが!」

「報告書とか何とかとか,だりぃヤツじゃねぇか。やってらんねーよ土方テメ−がしろよひじかたァ。」

「ンだとコラぁ!いいから降りてこい!!」
降りれねぇンだっつーの!!

「…?どーした。」
ぁ,やべぇ。顔に出てたかな?

「もしかして降りれねぇとか?」

「ち,違いまさぁ」
あぁ、やべやべ。絶対バレた。つ−か,何笑ってんでぃ。


「ほぉ〜,じゃキヲツケテ降りろよ〜。後仕事もちゃんとしとけよ。」
じゃ!,とか云って去って行こうとする土方さん。

「ちょ,ちょっとまって土方さん。」

「何なんだよテメ−は。」
だって・・・。どーする俺,

「・・・」

「降りれなくなったんじゃねぇの?(ニヤリ)」
笑ってんじゃねぇよ,後で覚えてろィ




くっそ〜…こぉなったら
「全然そんなことありやせんぜ!!…只,ちょっとハシゴとかが欲しいなぁ〜と思ってるだけでさぁ!」

「やっぱり降りれなくなってんじゃねぇか!!」







その後もしばらく2人でぎゃあぎゃあ喚いていたが、そろそろ言い争いが白熱してきたところで木の方が耐えられなくなり結局枝ごと下に落ちてしまった。
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