猫科悲劇
□猫科悲劇:4
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土方の部屋へと入ってきた近藤。
「俺,良いこと思いついたんだけどさ,」
と嬉しそうに云うと沖田も興味津々で『本当ですかい!?』と目を輝かせて駆け寄った。
耳はピンと立ち,尻尾も高い位置で穏やかにゆらゆら揺れている。
だいぶん気分が良くなったようだ。
近藤の前では大違いである。
土方は静かに溜息をついた。
「俺さ,実は猫になったことあるやつを知っててな。どうにか来てくれないかって頼んでみたんだ。そしたら来てくれるってよ!」
もう呼んでおいたから用意してきてくれるか?と付け足す近藤に思わず笑みがこぼれる。
「マジでか!直ぐ用意して行きまさぁ」
そう云うとまだ寝間着の状態だった沖田はバタバタと部屋を出ていった。
「近藤さん,マジかよそれ。」
どうにも信じられない話にげんなりとした顔で近藤を見る土方。
まさか今までにも沖田以外に猫になった事があるヤツが居たなんて。
「本当だぞ!俺だってその時一緒にゴリラになんてたんだから。」
と自信満々に云う近藤。
「いや,近藤さんはいつもゴリラじゃねーか」
「いやいや,ゴリラ顔かもしれないけどゴリラじゃないから。俺,人間だから!」
本当にゴリラになってたの!トシたちは気づいてなかったけど…と云う近藤の目がちょっとうるっとしている。
おいおい,いい大人が。勘弁してくれよ,とも云えず。
「ハイハイ分かったよ。で,誰なんだ?猫になったことあるってやつは。もう呼んであるんだろ?」
「あぁ,もうすぐ着くはずだぞ。ちなみに猫になったことあるってのは万事屋だ。」
知ってるやつでよかったよ本当に!ガハハ!!
と豪快に笑う近藤に今度は大きなため息を吐いた。