猫科悲劇

□猫科悲劇:12
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「トシ、やっぱりやめようか。今は総悟の好きなようにさせてやろう。」

「甘ぇんだよ近藤さんは。また誰か怪我したらどうすんだ?抜き身の刀、四六時中手にぶら下げて歩いてる様なもんだぞ」

「そこまで云わんでも…」

「俺からしたらそんなもんだ。とにかく爪は切らねぇと」


また新たに出来た傷を静かに擦る土方に、どうしたものかと眉を寄せる近藤。


確かに刀が持てない沖田の気持ちが分からんでもない。
と云うか、同じ刀を持つ者としてその気持ちは土方にだって痛いほど分かる。


だが、しかし。アレとコレとは別なわけで。





「…近藤さん、俺の部屋の畳。どうなってると思う?」

「?」

突然の全く関係の無い様な質問に素直に首をかしげる。
どうって、どうなってるんだ?


「アイツには…、アイツにはもう爪磨ぎさせるわけにはいかねェんだよ!!!」

「そっちかよ!」


「イヤイヤ、それだけじゃないよ!?あの爪危ねぇし、すっげぇ痛いし!!けど俺にとってはそれだけじゃねェんだよ!!」


分かってくれ、と云わんばかりに身ぶり手ぶり必死にあれこれ説明してくる土方の姿に
やっぱり手を打つべきか…?と近藤は苦笑いした。
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