猫科悲劇
□猫科悲劇:12
4ページ/6ページ
「俺だって苛々してんでさァ」
「それは分かってるけどよ」
「総悟、誰か怪我させてからじゃ遅いんだぞ?」
近藤の言葉に押し黙る沖田。
一通り沖田の言分を聞き話をする事小一時間。
やっと落ち着いてきた沖田を近藤に任せ、今度はあまり口を挿まずに静かに見守る土方。
はっきり云って沖田に云う事を聞かせるなら近藤に頼んだ方が各段に良い。
嫌でも沖田は首を縦に振る事の方が多いからだ。
首輪の件では流石に近藤の提案でも嫌がったが爪切りは渋々ながら了解してくれそうだ。
頑張れ近藤さん、あと一息!!
「…はぁ、分かりやした。けど、痛くしねぇで下せえよ?」
そう云って近藤の前に自らの前足を差し出す沖田。
今し方研いだばかりの鋭い爪は今は隠れて見えないが、それでも残念そうに肩を落とす沖田。
「大丈夫だ総悟!!俺、ちゃんと動物用の爪切り買ってきたから!」
そう云って動物用のギロチン式爪切りをジャジャ〜ン!!と沖田の顔の前に突き出した。
人間用の爪切りよりも大きく動かすたびにガチャガチャと嫌な音を鳴らす凶器に慌てて差し出した前足を引っ込める。
「…やっぱり今日は止めときまさァ〜…」
そう云ってあからさまに逃げようとする沖田を土方は逃すまいと沖田の両前足をがっちり後ろから掴んだ。
「武士に二言はねぇよな?」
沖田に負けず劣らず超−ドSッ面でニヤリと笑う土方にチッと舌打ちをする。