猫科悲劇
□猫科悲劇:12
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「痛くしないでって云ったのに…」
涙目で完全に拗ねてしまった沖田を余所に今度は土方が爪切りを握る。
「ちょ、待ってくだせェよ!今日はもうお終いでさァ!!」
「何云ってんだまだ1本しか切ってねぇじゃねぇか」
そう云って小さな前脚を掴む。
(なんだ、血管透けて見えてんじゃねぇか)
パチン、
パチン、
規則正しく爪切りがなる音が部屋に響く。
近藤も沖田も2人してポカーンと口を開け爪が切られていく様子を黙って見詰る。
『ハイ、次。』と、いつの間にか前足が終わり後ろ足の爪を切り始めた。
パチン、
パチン、
パチン、
「トシすげぇなぁ!」
「いや、近藤さんこの血管見えなかったのか?」
「え!?どこどこ!!」
爪を全て切り終えた土方さんは近藤さんに猫の爪を見せている。
『おぉ、すげぇ本当だ!!』って近藤さん…
総悟はと云うと解放されたあとも残念そうに切られた爪の断面を見て溜息をついていた。
とくに深爪したところはまだ薄っすら血がこびり付いていて、痛むのかそれを懸命に舐めていた。
でも、これで暫くの間は畳の被害も自分自身の負傷もある程度減少してくれるだろうと
遠巻きに沖田の様子を見ていた土方は安堵の息をもらした。