猫科悲劇
□猫科悲劇:17
3ページ/6ページ
「山崎テメー、随分と遅かったじゃねぇか」
「お、沖田さん!!」
赤い大きな猫目を細めて今にも飛掛らん勢いでゆっくりと近づいてくる猫が一匹。
顔つきや尻尾の様子からかなり怒っていることがわかるが
それよりも体から放つ怒りのオーラが山崎と土方を射抜く。
「そ、総悟?」
今まで山崎に怒り心頭だった土方の熱もどんどん下がっていく。
山崎は板挟み状態で以前ガタガタ震えている。
「テメー、俺がどんだけ腹空かせて待ってたと思ってんだ。あぁ!?」
足音も無くずいっと2人に近づいて下から睨みつけ低くイラついた声を上げる。
「ふ、副長!アンタ、沖田さんの食事頼んだでしょうが!!」
「何で土方ノヤローに頼みやがった!!あんな犬の餌食えるか!!」
「総悟!テメーの食欲ねぇって聞いたから俺は食えるようにアレンジしてやったんだろうが!!」
「一口も食ってねぇよあんなモン!犬の餌どころか猫まんまにもなりませんぜ!!お陰でこっちは山崎が居ない間腹ペコでさァ!」
それを聞いて驚きの声を上げたのは山崎。
グイッと襟元を掴んでいた土方の手を振りほどき沖田へと目を向けた。
「えぇ!?沖田さん何も食べてないんですか!?ダメじゃないですか!!」
「近藤さん達から鯛焼きとか貰ってたから大丈夫でさァ!」
「いや、ダメでしょ」
すかさず突っ込むのは新八。
「はいは〜い。ちょっと落ち着いて。」
新八のつっ込みも虚しくまたギャアギャア云い合いを始めようとする3人の間に割って入り当たり前のように其処で話を断ち切った銀時。
早速収拾のつかなくなってきた云い合いにストップをかけ、なんとか3人を落ち着かせた。