短
□狂った悪魔
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「そりゃ…、厄介ですねぇ」
今回の討ち入は沖田が呟いた通り厄介であった。
まず敵が使う武器が刀だけではなく天人製の悪質な物で有名であったり、
とにかく過激で同じ攘夷派の連中からも危険視されていると云う事。
場所も場所で足場も見通しも最悪の廃墟地帯。
一歩外へ出るとこれまた住宅密集地でこっちとしてはとてもやり難い事この上ない舞台だった。
何度も繰り返し作戦が練られ、入っている限りの情報は余すことなく伝えられたが、
また新たな武器が使われてもおかしくないとのこと。どんな罠が仕掛けられているかも殆ど分からないままの討ち入となった。
はっきり云って今回真選組はかなり不利な状況だった。
不透明な事が多過ぎて作戦もあったものではないが。
しかし、もう今日このタイミングしか敵を捕らえるチャンスがないと云う事もまた事実。
討つには今日しかないのだ。
「十分に気を付けてかかれ」
「へい、」
沖田も土方から作戦を聞き部下を連れ各配置につく。
「今回はあんまり気張り過ぎんじゃねぇぞ、あぶねぇって思ったら一旦引いてもかまわねぇから」
「はい!!」
「静かにしろ、テメーらはいちいち声がでけェんだよ」
気を張っている為か、肩に力が入り過ぎている者も多いようだ。
この日は特に誰もが緊迫した面持ちで配置に着いていた。
大将の近藤、配置を細かく分け指示を出す土方、最前線で一番敵を斬る沖田。
それを支える隊士たち。
作戦も人選もこれほどまでにバランスが取れていた、
…只、やはり相手が悪かった。