リクエスト

□温血動物
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暫く経って目を開けると何てことない日常が戻っていた、
なんて数日だった。

最初は動かせていたはずの体が日を追うごとに痛みを訴えて
思う様に動かなくなっていった。





今回の件、大けがを負ったのはみな同じだが
やはり一人で化け物とやり合った代償は思っていたより大きいらしく、
ずいぶん無理をしていたらしい。
夜兎の集団とやり合った近藤と土方もなかなかのダメージを負ったが、
万事屋や忍たちもいた為大事には至っていなかった様だ。
しかし途中で中断にならなければ近藤や土方も無事では帰ってこれなかっただろう。

そんな中、一人で死闘を演じ姫様を守り、
無事脱出させ帰ってきた沖田もしばらくは意識がなかった状態だったのだから後日動けなくなってもおかしくはない。

自室に入り気を緩めると痛みや気だるさがぶり返す。
ふぅ、と一息つくものの誤魔化せない疼きが、
傷がジクリと痛みに襲われる。

そんな痛みも時期に引くだろうと深く考えずに、その後もなんとなく忙しい日々が続いた。

そうして、若干放置した傷が悪くなるのもそう時間がかからなかった。




毎度沖田は大きな怪我をしても大抵大丈夫だろうと軽く見て悪化させたり、
それを隠すのが上手かったりする。
気が付いた時には高熱でうなされて痛い目を見る。
結局自分がきつい思いをするのにその癖はなかなか治らない。


この時も動かない体に甘え、
あともうちょっと、と目を瞑ったはずだったのにいつの間にか昼前になっていた。

ボーっとした思考の中
人の気配に目線だけ動かすと土方と目があった。



「どうだ調子は?」


「どうって…なんで居るんですかィ」


いつの間に入ってきたのか。
土方が居た事に驚きつつ思っていた以上に体、特に傷のあたりが焼けるような痛みを訴え
起き上がれない事に焦ったさを感じた。
枕元には水差しや水が張った桶があり
額には湿ったタオルが乗っている。
暖かくなってしっとりと張り付くだけになったタオルを額から落とした。
腕を動かすこともだるくて舌打ちをする。
そんな沖田の心情を知ってか枕元までくると暖かくなったタオルを拾い上げ桶の水に浸す土方。


「具合悪いんだろ?左胸の傷、自分で見たか?」


「まぁ、グロいんで開けない様にはしてますが…あ、タオルもういらないんで」


タオルを固く絞り沖田の額に当てようとする手を払われ土方は溜息をついた。


「…だから悪化すんだよ」


諦めたようにタオルを桶にちゃぽん、と沈める土方の姿を睨みつける。
薬塗って綺麗なガーゼ当ててんだから
何日かは持つはずだと思っていた。

沖田は心外だとばかりに顔をしかめた。



「最初の時にしっかり治療して貰ったんで大丈夫でさァ」


「…傷からの感染で熱が出てる。自分で分かるだろ?暫くは安静だ」


「そんなんしなくても俺ァ大丈夫でさァ」


「良いから休め、局長命令でもあんだから」


「…」



近藤の名前を出すと押し黙る沖田。
歩が悪いと思ったのか単に諦めたのか、
そのまま目を閉じ静かに寝息を立て始めた沖田を見届け部屋を出た。
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