リクエスト
□残酷な過去、日常となった今
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あの時は確か、
土方さんも酷く苛々していたんだと思う。
隊内での反乱が起きて丁度終息しかけていた頃合いだった。
俺は勿論、土方さんの事は相変わらず気に入らなかったけど
土方さんの考え方は嫌いじゃなかった。
むしろ、土方さんが必死になって変えようとする真選組がどうなって行くのか楽しみでしかたなかったんだと思う。
そんな時、その反乱した者の粛清が行われ、
その者たちに助言したであろう山南さんをも切ろうと土方さんが動き出していた。
それを知っていたのはごくわずかな人間だけだった。
そんな折、山南さんが姿を消した。
きっと土方さんの考えを知ってのことだろう。
消される前に自ら隊を抜け出したのである。
しかしそれは法度に違反する行動。
捕まれば切腹だ。
その後、捕らえられた山南さん。
いや『捕らえられた』という表現は語弊があるかもしれない。
自ら逃げ、自ら帰ってきてしまったのだ。
逃げきるチャンスはあったのに、だ。
『総悟、お前がやれ』そう云われた時、自分が唖然としたのが分かった。
一瞬、意味が分からず
何と言われたのか理解できなかった。
要は、俺に山南さんの介錯をしろという事だ。
ストンと言葉の意味を理解した時
完全に、混乱していた。
山南さんのことは嫌いじゃなかったし
むしろ気に入っていた。
それは土方さんも知っていた事だ。
土方さん目から視線が外せず
彼から見た俺は今、どんな顔をしているのだろう。
そんな事を考えていた。
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