猫科悲劇
□猫科悲劇:4
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沖田に猫の耳が付いてから一週間が経とうとしていた。
沖田が食べた物はいったい何だったのか,どうやったら元に戻るのか,だいたい本当にソレが原因なのかもまだ掴めずにいた。
「俺,もう我慢するのやめまさぁ。やりたい事はやる,もうこれで良くないっすかねぇ?」
悩むのもなんだか疲れてきやした〜,と
ケロっと云ってみせる沖田。
「それじゃいつもと変わんねぇじゃねえか」
口元を引き攣らせ吐き捨てるように云った土方は青筋を立て殴りたくなった気持ちを必死に抑えていた。
「つーかさ…,なんで俺の部屋来んの?」
今日も机に向かいガっツリ仕事中の土方は,一度手を止めて後ろに居るであろう沖田へと目線を送った。
「・・・」
返事がない,只の猫耳沖田の様だ。
「お−い,さっきからソレ。止めてくんないかな?」
そう云う土方の目線の先には,必死になって畳にバリバリと爪を立ている沖田が居た。(勿論,土方の部屋)
「いや,我慢は良くないんで」
と云う沖田は目すら合わそうとしない。ただただ,ひたすらに畳を引っ掻いている。
お宝でも掘り出すのか?というほどの勢いだ。
大げさにハァ…,と溜息を吐く土方。部屋の中をよくよく見渡せば畳や壁や柱など
いたるところが既にズタボロになっていた。