猫科悲劇
□猫科悲劇:5
1ページ/5ページ
とりあえず『依頼』という形でこの件を引き受けた万事屋一同であったが真選組屯所からの帰り道,少しの沈黙と決して軽いとは云えない3人の足取り。
「どうすっかなぁ〜・・・」
軽い溜息とともに銀時が口を開く。
「どうするもこうするもないアル。だいたいあんな奴らの依頼なんか聞くことなかったアルよ!」
沖田の事が気にいらない神楽はまだ機嫌が直らない様だ。
「いやいや,今月もヤバいからね。先月もヤバかったけど,それ以上に今月ヤバいんだからね。」
軽いノリで喋る銀時の言葉に付け足すように新八が呟いた。
「・・・先月も払えてないですからね,家賃。」
また軽い沈黙。
「もうこうなったら,やるだけやってガっツリ搾り取るって作戦で。」
急に立ち止まり意気込む銀時。
「結果出さないとあの人たちお金出してくれそうにないじゃないですか?」
「金,金って。テメ−はソレばっかだなァ」
「神楽ちゃんはちょっと黙ってて」
「大丈夫,そこは何とかするから。つーかさ,もういいんじゃない?沖田君。あのままでもなんか似合ってたしぃ」
だんだん投げやりになる銀時にため息交じりに新八も返す。
「確かに似合わない事もなかったですが,あの性格を知ってるからなんだか。良いのか悪いのかって感じもしますけどね。」
「いやアル。きもいアル。」
「だから神楽ちゃんはちょっと黙ってて」
「だメガネのくせに,なにアルかその云い方!!」
「アイタタちょっと何すんの!!」
ギャーギャー云い始めた2人を横目に「ま,いっか」と呟いてまた歩き出した。
確かに猫になった事はあるが,銀時が猫になった時と沖田の猫化は明らかに違う。
気が付いたら猫になっていた銀時に対して,沖田の猫化はゆっくりと時間をかけて体の一部,行動,言動など,徐々に猫化して行っているのが分かる。
(俺,あの時どうやって戻ったんだっけ?)
急に猫になって急に戻っていたのだ。なんで戻れたのかは,今だに自分でも良く分からない。
ましてや子供のよく分からない物の誤飲(?)が原因かもって
何もかもがあやふやでこちらも調べようがないのだ。
(どうすっかなぁ〜・・・ぁ,デジャブ。)なんてくだらないこと考えながら家路に就いた万事屋一行であった。