猫科悲劇
□猫科悲劇:16
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ある日の万事屋。
「銀ちゃ〜ん、定春の散歩行ってくるヨ」
そう云って、いつも通りの寝癖だらけの頭で
デカい真っ白い犬と玄関へ飛び出すのは神楽。
「お〜う、でも早く戻って来いよ。今日もやる事いっぱいあんだから」
気だるげに目線だけよこしてガシガシとめんどくさそうに頭を掻きながら銀時は声を上げた。
「分かってるネ。行くヨ定春!」
相変わらず元気いっぱいに外に飛び出して行く後姿にふぅ、と溜息をつき時計を見る。
いつもの会話、いつもの朝のひと時(もうすぐ昼だけど)
いつもならもう来ている時間なのに
もう一人の万事屋メンバーの姿がまだ見えない。
「ったく新八のヤツ、何やってんだ。苛々すんなぁ…
そうだ、こう云う時は甘いモノ。」
イチゴ牛乳でも飲むか,と、独り言を漏らし立ちあがった時、
その声が届いたのか
玄関の方から慌ただしい足音がこちらへ向かってくるのが聞こえた。
「銀さん銀さん銀さ〜ん!!!」
「うるせー!!聞こえてるってのっ……
……新八君?何そのかっこ」
ドタドタと慌てて入ってきた新八の格好はお通ちゃん専用親衛隊のフルコスチューム。
「テメー、仕事にも来ないで何遊んでんだ?あぁン!!?」
胸ぐらを掴みすごい形相で責め立てる銀時に怯みながらも慌てて言葉を返す。
「す、すみませんっ!!それより銀さんコレ見てくださいよ!!」
そういってずいっと銀時の目の前に出されたモノはお通ちゃんが大きく乗っている広告ポスター。
そこには猫の耳と尻尾らしきものを付けたお通ちゃんが写っていた。