短
□君で居て
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時たま、総悟からミツバの面影が見える瞬間がある。
今みたいに近藤さんの粋な冗談に口元に手を持っていき『ふふ、』っと小さく笑うところなんて瓜二つだ。
これだけではなく、ちょっとした時に見せる何気ない姿や行動が姉のミツバとよく似ている気がする。
そんな時俺は無性に胸がざわつく。
『もしかしたら、総悟も…,』なんて事
今みたいに考えた事は1度や2度じゃない。
そんな考えを振り払うかのように小さく頭を振って持っていた煙草を口に銜え短く溜め息を吐く。
「土方さん?」
気が付くと目の前に俺の顔を覗き込む大きな赤い眼が2つ。
一瞬ドキッとして口に銜えていた煙草を落としかけた。
「何一人で思い耽ってるんですかィ」
「べ、別に何でもねぇよ。」
ツ−ンと目をそらす俺に興味なさそうな総悟の顔。
「ふ〜ん、まぁ俺には関係ねぇけど。」
そう云うと鼻歌雑じりで俺に背を向けて去って行く総悟。
今日はなんだかご機嫌なようだ。
「そうご、」
用があるわけじゃないのに呼び止めた。
たぶんほぼ無意識。
自分でもビックリだ。
勿論立ち止まってこちらを振り向くと『何ですかィ?』と首をかしげた総悟。
「?…何でィ」
「いや、…サボんじゃねェぞ。」
一瞬物凄く嫌な顔をした総悟は口の中でモゴモゴと悪態をついている(のだろう)。
しかし何を思ったのか、ふと何かを考えた後
総悟は普段見せない様な笑顔で俺に目を向ける。
どきり…、
また心臓が大きく跳ねた。
「 じゃぁ、団子と餡蜜奢ってくだせぇ!!!」
なんて、
やっぱ前言撤回。
コイツはコイツだ。
誰にも似てねぇ只のわがままな餓鬼。