リクエスト

□焼きいも
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ふと目に付いた枯れ葉の山。



誰かが庭の掃除をしていたのだろう。
集められたまま放置されているそれを
食い入るように見つめるのは沖田。

そこへやって来たのは
三番隊隊長の斎藤終。



「ぁ、終兄さん」


斎藤に気付いた沖田が落ち葉から視線を外し声を掛けた。

今日も眠そうな顔。
何を考えているか…
謎が詰まったアフロ姿でさっきまで沖田が視線を注いでいた庭へと目を遣る。


「あれ、誰が集めたか知ってやすか?」


そう聞かれ、分かるはずもない斎藤は一瞬考えたのち首を横に振る。
何を考えているのかじっと枯れ葉の山を見詰める沖田に合わせ
斎藤も枯れ葉へと視線を落とす。


「…やきいも、したくないですか?」


沈黙ののち呟かれた声に、
それいいね!とすぐさま親指を立てる斎藤の目もなんとなく輝いている。


「やりィ!さすが終兄さんだ!」


ニッと笑ってはしゃぐように声を上げた沖田。
斎藤は無言のまま庭に下りると更に落ち葉を掻き集め始める。


「終兄さん、俺は芋調達してきやす!」


こくりと揺らすアフロも見ずに
駆けだした沖田の後姿を斎藤は静かに見送った。
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