短
□夢心地
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ふぅ、と息を吐き出しダラダラと廊下を歩く。
すると前からこちらに歩いてくる近藤と土方を発見した。
「近藤さんおはようございやす!!そして土方死ね,」
「おう!!おはよう総悟。」
「テメーが死ね、」
にこやかな近藤に対して朝からイライラと青筋立てまくりの土方。
ふと近藤が沖田の目線に合わせて少しだけ身をかがめた。そしてまじまじと沖田の目を覗き込む。
ポカーンと見つめ返す沖田に首をかしげる近藤。
「総悟、お前ちゃんと寝てんのか?」
「…へぃ、寝てやすが何か?」
「だって…なぁ、」
ホラ、トシもみて、隈だよな?なんて云いながら沖田の目の下をなぞる。
土方も眼を細めて沖田の顔を見る。
確かに薄っすら隈が出来ているように見えなくもない。
眉をしかめる土方の反応に『え,マジですかィ?』と少し目をこすった沖田。
「あぁ、確かに眠いかも知れやせん。ちょっと2度寝してきまさァ」
なんてケロッといって通り過ぎようとする沖田。
「ちょっと待てぇ!!なに堂々とサボろうとしてんだテメーは、働け仕事しろ!!」
『チ、土方の鬼−!!』という沖田に近藤も『トシの鬼−!!』と声をそろえる。
(つーか今舌打ちしやがったなチクショ−)
さらに青筋を立てる土方を余所に近藤は沖田へと向き直り大きな手のひらでワシャワシャと頭を撫でた。
「総悟、疲れてるなら無理するな?有給とってもいいんだぞ〜?」
なんて甘やかし全開の近藤に喝を一つ。
「甘やかすんじゃねぇ!!だいたいコイツはいつも昼寝してんじゃねぇか!!(しかも仕事中に)」
苛々と云いながらも(確かに隈…出来てるし、)と心の中で呟く土方。
「とにかくしっかり仕事しろ!昼からは見回りだからな。ちゃんと来いよ!!」
と、釘を刺して行こう近藤さん、と土方と共に去ろうとする近藤に慌てて静止の声をかける。
「待ってくだせェ近藤さん。」
2人は立ち止まり沖田を見る。
「今日姐さんに会ったら優しくするんですぜ!!」
と自信満々に云うとそのまま踵を返し自分の部屋へと向かって歩き出した。
後ろには首をかしげた2人が居た。
その様子にちょっとだけクスリと笑う沖田。
最近夢見がおかしい所為で寝た気がしない為、ちょっと疲れているのかもしれないが,
正直,素直に楽しんでいる自分も居た。
人の見た夢をわざわざ聞いてくる隊士たちははっきり云ってウザったい。これだけは勘弁して欲しいところなのだが…。
それでも正夢…(というにはちょっと遠い気がするけど、でも)そんな感じの。
それなりの現象が最近よく起こっていることには間違えない。
最初は確か…