□君に触れたい
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当初計画していた通り
一番隊が最初に飛び込んだ。


先頭に居るのは勿論
一番隊隊長の沖田。








古びた廃墟を取り囲むのは真選組。
監察の報告通り通路に見張りは居ない。


無線で外と連絡を取り
他の隊も別の方から突入を始める。
静かに数人と進むと頑丈な扉
静かに開くと数人が集まっているのが見えた。






沖田が先陣を切る。


「真選組だ!…っ?」



その直後、
閃光が走り沖田は慌てて後方へ
来るな!と声を掛けた。


扉の影に隠れた仲間は
眩い光に目を細める。



「隊長っ!どうしました?」


「…くそ、目をやられた!まだ入るんじゃねぇ!」



中の様子が分からない隊士たちは
光線がやわらいで慌てて突入すると
まさに敵が沖田に切りかかる所だった。

しかし沖田は反撃するどころか、
交わす様子もない。



「隊長っ!避けて下さい!!」


異変に気づいた隊士たちは慌てて駆け出すが間に合わない。
沖田を取り囲んだ敵たちが刀を振り下ろす。
沖田は気配だけで振り下ろされる無数の刀を交わし、身を引いたが
肩に重い衝撃を受けた。
次に腹や背中を深々と刺され身を斬られる感覚が襲う。

背に当たった衝撃のままに耐えていた体が前方に倒れ込んだ。

その直後、前後左右で刀のぶつかり合う音が響き始めた。
誰かが無線で今の状況と閃光が使われた事を報告している。



怒号飛び交う戦場の中
早々に使い物にならなくなった沖田。
体からは大量の血液が流れ出し、血溜まりがあっという間に大きくなった。
呼吸が苦しいのに加え周りの状況が全く分からない。

息も絶え絶えで薄れ行く意識の中
懸命に何度も瞬くが沖田の目は光を映さない。



応援が来たのか慌ただしい足音が部屋へと駆け込む。


こっちだ!早くしろっ、隊長が…!


両脇から腕を担がれ引き摺られるように戦線離脱した。







一番隊の報告が一斉に伝わり
注意を呼び掛けたお陰か、他の場所でも閃光が使われたが負傷した者は居なかった。
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