そらのいろ

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「今日はとても勉強になりました」

「あいつら凄いな。バスケットの中全部食べきったのか」

「育ち盛りですし、男の子ふたりがいたらそんなものですよ」

空になった大きなバスケットをカカシ先生が担ぎ、私達は帰路についていた。
まだ夕方に差し掛かろうかという早い時間。
任務が終わると私は今日の分の差し入れを三人に手渡して別れた。

「んで、今日はどうだった?」

「はい。とても楽しかったです。
任務なのですから、楽しかったというのはおかしな表現だとは思うのですが…
でも、色々と知る事が出来て面白かったです」

「そ。なら良かった」

「でも、今日はまだ軽い方の任務なんですよね。
普段大変な任務をこなしてるんですから…もっと精がつきそうな差し入れの方がいいかな…」

「大丈夫でしょ。サスケもナルトもそこらへんは分かってるさ。一人暮らしは長いからな。
サクラに至っては両親がいる。何も問題はない。
すず音は今まで通りでいいよ」

「そう…ですか?」

「あまり気を遣いすぎるとあいつらも気を遣いだす。
今の関係でいたいなら今まで通りの方がいいでしょ?」

「……そうですね。じゃあ、そうしましょう」

「それよりも」

「え!?」

ぐっといきなり私の肩にカカシ先生の腕が回された。
突然の事に驚いて放心していると、そのまま体ごと肩を押されくるっと向きが変わる。
カカシ先生によって真横に向かされると目の前には団子屋さんがあった。

「俺はすず音の方が心配なの。
誰彼構わず気を遣っちゃうでしょ。
だからたまには他人なんて気にせず自分の好きなことしなさいよ。
とりあえず、今日はココね。好きな物なんでも頼みなさい。俺の奢り」

「えっでも!」

見上げて焦る私にカカシ先生は視線だけ見下ろして

「あれ?甘いもの好きじゃなかった?」

「いえ、大好きですが…」

「確かに俺は食べられないけど気にすることないよ。今日はすず音の為に来たんだからね」

「えっでも、その。あの!」

私の言葉なんて聞く耳持たず引きずられるように団子屋さんに連行された私。

とても美味しい団子を提供するお団子屋さんはカカシ先生の同期の上忍だけでなく、里のほとんどの人が常連さんになっているらしい。
歴史もあり長く続いている老舗。

「この間も別のお店でイルカさんがご馳走してくれたのに」

「まっ一応同居してる俺が後手にまわるなんて男としてちょっと悔しいのよ。
家のこと全部させておいて好きなものひとつもご馳走出来てないなんてね」

運ばれてきたお団子をひとつ口に入れる。
甘すぎない絶妙なタレが香ばしく口いっぱいに広がり、もちもちと弾力のある団子の食感がその美味しさを引き出す。

「美味し?」

「はいっ」

「そりゃ良かった」と笑うカカシ先生に胸を高鳴らせ、彼に甘えて私はお団子を全て平らげたのだった。


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