そらのいろ

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その小さな穴の中に、私は電池の切れたスマートフォンを放り込んだ。

スマートフォンは吸い込まれるように穴の中へと入っていき、そして穴はスマートフォンを呑み込むとまるで満足したようにその空間を閉じた。

もう、帰る手段はない。

でも…

「…さ、帰ろう。一緒に木ノ葉へ」

優しい笑顔で私の顔を覗き込んでくるカカシ先生。

私はその笑顔を見て微笑み返し、しっかりと頷いた。

体が思うように動かない私をカカシ先生が抱き上げる。

ゆっくりと歩き出して洞穴の外を目指した。

心地よい振動。
安堵する愛する人の香り。
薬によって汚染された体の怠さ。

そして何より、義両親と仲直り出来た事の嬉しさ。

それら全てがドッと押し寄せ私の意識を睡魔で遠のかせる。

「カカシ先生!」

「カカシ先生ー!」

遠のく意識の向こうから、大好きな…弟や妹のような子供達の声が聞こえる。

ふたりの気配はやがて私達の前に立ち止まり、カカシ先生と少しの間何かを話す。
その内容は聞き取れなかったが、私が完全に意識を手放す前にふたりが言った言葉はしっかりと耳に残った。

「おかえりっすず音ねーちゃん!」

「もう、何処にも行っちゃイヤですからねっ」


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