最後の物語

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「やはりダメだったか…」

夕方が終わり、夜が始まった時間。
里に帰ってきたカカシ達の報告に綱手は半ば予想通りと言いたげにそうぼやいた。

「ボク達の方も特にこれといった情報は得られませんでした」

「縁があって記憶を無くした人と話す事が出来たんですが
自分が誰なのか、自分はどこの人間なのか…なぜ此処にいるのかも分からない様子でした」

と、サクラ。

「盲目のおっちゃんもあちこち探したのに手掛かりすらなくってよー
そもそもあのおっちゃん、目が悪いのになんであちこちフラフラしてんだ?」

「彼は無償で人々を助ける旅をしている」

「すげーいい奴じゃん」

「そうするのも自分がどうしても治せない病を治す為だからと言っていたから、ただ単に人助けの旅とは限らんのかもしれん。
明確な理由については私も分からない」

「せめて目的地でも分かれば先回りして待ち伏せる事が出来るんですがね…」

ナルトと話していた綱手は今度はそうぼやいたカカシに目を向け

「あの盲目の名医が一箇所に留まったという話しは聞かんな…」

「だが、ナルトの話によると探し物をしていると聞きました。
何かを探すなら情報収集が基本です。
近くに村や町があればそこへ足を運ぶかもしれません」

ネジの言葉に綱手は腕を組み目を閉じて考える。

そしてひとつため息をつくと

「…まあいい。ひとまず今日はこれで解散だ。
皆、ご苦労だったな。下がって良いぞ」

『は!』

頭を下げ各自部屋を出て帰路につく。

「カカシ先生、ヤマト隊長お疲れ様でしたっ」

「また明日な!」

「失礼します」

「では」

サクラ、ナルト、ネジ、サイの順で挨拶をする。

カカシとヤマトは4人と向かい合い

「おう。ゆっくり休めよ」

「また明日ね」

自分達の家へと向かって夜道を歩きだす4人を見送る大人ふたり。

「…カカシ先輩…」

「あー?」

「まさか今日も…とは言いませんよね?」

「そんな毎日お前と飲みに行くわけないでしょ。
むしろ今日から付き合い削ってでも帰るね」

「はい?」

「帰ったらすず音ちゃんとのイチャイチャパラダイスが待ってるからね♡」

ムフフッと目尻を下げてそそくさと帰りだすカカシ。

「ただのエロいおっさんだな…あれは」

そんな先輩の背を眺めながら、ヤマトはひとまずしばらくは理不尽な誘いがない事に安堵したのだった。



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