最後の物語

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それから、カカシさんは本格的に忙しくなった。

何度も奥に出されたというのに受精はされなかったのか、翌月には私の体は通常通りの予定日が来た。

一度だけでは流石に無理かと少し落ち込むも、あまりの彼の忙しさに体を重ねる事すら難しくなる毎日。

今私がすべき事は彼を求めることではなく、支える事だと気持ちを切り替えて出来る限りカカシさんに尽くした。

そんな日々が続き、ついに木ノ葉に暁が襲撃してきた。

日中は任務で家にいないカカシさんにもちろん頼る事は出来ず
とりあえず彼から教えられていた緊急の際の避難場所へと必要な物だけ持って移動し、あともう少しで避難誘導係のいる場所だという所で私は暁のひとりに囚われた。

名前は分からない。

でも、カカシさんが教えてくれた服の特徴が完全にそれだった。

一般人である私を何故狙うのか?
怯えながらも聞いてみると仲間のひとりが私が邪魔だから殺したがっている。一般人だから殺す機会はいくらでもあるだろうと今まで放っておいたが、木ノ葉を襲撃しナルトくんを捕らえるついでに私を殺すという目的だったようだ。

どうやら幻術が効かないという私の特徴が殺す理由になっているらしい。

怖くて足が震え、動けない私。

もうだめだ、と諦めかけた私を救ってくれたのはイルカさんだった。

しかし暁の人はイルカさんにナルトくんの居場所を聞き、答える事を拒否するとやはり容赦なく殺そうとする。

そんな彼を助けたのがカカシさんだった。

彼はイルカさんに私の避難場所への誘導と負傷者の搬送を頼むと交戦を開始した。

足が震える私を気遣いイルカさんは手を引いて避難場所へと案内してくれる。
力が入らず膝がカクつき転びそうになりながらも必死にイルカさんについて行きなんとか無事避難場所に辿り着くことが出来た。

避難所についた事で安心したのか私は先程の恐怖を思い出しガタガタと震えながら泣き、ただひたすら交戦中であろうカカシさんが無事である事を祈り続けた。

暁の襲撃は、修行から一時的に戻ってきたナルトくんによって鎮圧された。

木ノ葉の英雄として里の人々は褒め称える、これでまたナルトくんの夢である火影に近付けたのかと思うと嬉しかった。

そしてカカシさんは無事に戻ってきてくれた。

ひどい傷だらけだし、写輪眼を使ったのでもちろんいつも通り病院のベッドと仲良しになる事になったのだが…

しかし、無事とは言ったがどうやら無事ではなかったようだ。

口を滑らせてしまったチョウジくんの話では一度カカシさんは死に、敵の術で蘇ったという。

それを聞いてしまった私は自宅療養に変わっていた彼に抱きつき、ちゃんと生きている事を再確認すると安心感で大泣きした。

「あーあ。…バレちゃったよ」

ため息をつきながらカカシさんは泣き続ける私の頭を撫でてくれる。

一頻り泣いて落ち着いた私に彼は改めてきちんと話してくれた。



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