山守月天子

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「受け取ろう。ありがとう」

ネジくんの手が伸びて一輪挿しを受け取ってくれた。
嬉しくて微笑むと彼も再び微笑み

「でもいいのか?男に花なんて送って…カカシ先生が怒らないか?」

「確かに彼はヤキモチ妬きですが感謝の気持ちを贈るくらいきっと大丈夫です。
拗ねながらも納得してくれます」

「カカシ先生もなかなか独占欲が強いようだな」

「ふふっそうですね」

……………『も』?

「えっネ、ネジくんも…その、独占欲が?」

「な!?いやっオレは…!
その……そう、だな……強い、かもしれない…」

誤魔化そうとしたのに無駄な足掻きと悟ったのか少し頬を染めて照れた様子で私から目を逸らす。

「好きな人が…?」

「ああ…」

「どんな方ですか?」

微笑むだけで教えてくれなかった。

「応援してます。想いが伝わると良いですね」

「ありがとう…」

「任務も頑張って下さい。
あと何日お世話になるか分かりませんが、宜しくお願いします」

「気にするな。オレもなんだかんだ楽しんでいるからな。
任務中なのに五代目から怒られそうだ」

「息抜きは大切ですもの。
…そうだ!ネジくん、折角ですから私のお話聞いて下さい!」

「話?なんの話だ?」

「ネジくんだけ過去を私に知られてるなんてフェアじゃありません。だから、是非!」

「いやっいい。遠慮する。そんな気にするなと言っているだろう」

「いいえっネジくんに聞いてもらいたいんです。
何故だかそんな気分になってしまって。
ご迷惑でしょうが付き合ってくれますか?」

「まったく…これも仕事、か」

「ふふっはい。お仕事です」

ため息をついて苦笑するネジくん。
何故だろう?ネジくんには甘えたくなってしまう。カカシさんにはいつも遠慮をしてしまうのに。

「ネジくんは大人な雰囲気だし、私よりも背が高いからつい歳上だと思ってしまいます」

「ナルトよりひとつ上なだけですず音よりは歳下だ」

「私は成人してますからね」

「こんな子供っぽい大人は初めてだ」

「あははっ皆さんが逆に大人過ぎるんですよー」

「どうだろうな」

互いに笑い合いながら彼に促され、私の足元で静かに座っていたパックンと一緒に部屋に入る。

ネジくんの部屋で私達は一輪挿しを置いたテーブルに座り
お茶を淹れ、備え付けのお菓子をお茶請けにその日の夜は彼が許すまでゆっくりと色々な話をしたのだった。


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