山守月天子
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「すげーじゃんサク!守ってくれてありがとな!
サクがいなきゃオレ達今頃やられてたかもしんねぇ!」
「ほんとよ!サクさんありがとう!
正気に戻ってくれて良かった〜!」
「あっわ…!」
サクラにぎゅっと抱きつかれ慣れないスキンシップにサクは恥ずかしそうにあわあわと両手をジタバタさせる。
そしてネジと目が合うと、ネジはサクにニコリと微笑み
「よくやったな」
「っ…………あ…ありがとう、ございます…」
白い頬を仄かに赤く染めて気恥しそうに視線を逸らした。
サクラがサクから離れるとサクは真っ直ぐナルト達を見て
「この状態ならチャンスです。
僕が姉さんへ向けて『言の葉』を唱えます。
煙の中なら姉さんに邪魔されることもないでしょう。
あとは…災害が…」
ゴゴゴゴ…と地鳴りが聞こえ、同時に地震のように地面が激しく揺れ始める。
忍の5人はともかく体幹が鍛えられていないサクは体がよろめき
「サクっ」
倒れそうになる所を気付いたネジが手を伸ばしてその細い体を支えた。
「始まったか。ナイスタイミングだヤマト」
カカシが祭が行われている町の方向を見ながら呟く。
「始まったって…災害がですか?」
サクがすぐ近くのネジに問う。
「ああ。人々が祭の準備でオレ達を襲わなくなった数日間。
その間に分身の術で人手を増やし、サクから預かってサクが溜め込んでいた起爆札とオレ達全員の全ての起爆札を土が柔らかい山の傾斜に大量に設置した。
起爆札には全て起爆用の特殊な糸で繋げてある」
「あとは時間になったらスイッチ用の起爆札を爆発させ、全ての起爆札を爆発させて地すべりを起こし水遁を使って押し流して土砂災害にする。
ヤマトのことだ。確実に町に流し込めるよう木遁も使ってアレンジしてるだろう。
…大量の起爆札が無ければ出来なかった方法だよ」
「僕が…集めた…」
いやぁぁぁああああああぁぁああああああ!!!
『!?』
上空から絶叫のような悲鳴が響き渡った。
全員が空を見上げるが煙はまだ晴れきっておらず明確な空の状態が分からない。
しかし、最初に比べ周囲がうっすらと確認出来るほどに薄まってしまっていた。
「今だ!サク!言の葉を!」
「はい!」
サクは空で泣き叫ぶ月天子に向けて手を上げる。
だが地面はまだ揺れていてサクは何とか踏ん張ろうとするがどうしてもよろめいてしまう。
ネジはサクに体を密着させ、肩を抱きしっかりと体を固定するように支え
「オレが支える。何も心配せず唱えるんだ!」
「っはい!」
煙が晴れる。
サクの神秘な青い瞳が、月天子を捉えた。
「月の神秘に終局を
人の命よ
大地に還れ
其は 月天辞する人の子なり!」
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