山守月天子

□32
1ページ/5ページ


その日私は一眠りしている間に熱を出した。
サクラちゃんによると過剰な精神的なストレスによるものだろうとの事。
それが安心した事で一気に熱として現れたのだという。
カカシさんはそれを聞いて

「連れ去られた上に山賊に襲われ、乗り切ったと思えば夏の炎天下の敵地に数日間外で一人拘束。
更にはいつ襲われるか分からない状況の中、目の前で人が埋められる光景を見て、追い討ちに直接見た訳ではないとはいえ親しい者の親族の死に間接的に関わったんだ。
一般女性の精神じゃストレスかかるのが普通でしょ」

と言っていた。
幸い熱が高いだけで咳出ている訳でもなく、喉の痛み等の症状はないので薬を飲んでしっかり休めば問題ないだろうと言われた。
食欲が全く無いわけでもないのも幸運のひとつなのだろう。
サクラちゃんが用意してくれたお粥を食べて、とにかく私は体を快復させる事に専念した。

その間カカシさん達の方は火影さんへの報告も済ませ、今後の打ち合わせも終わらせて後は帰るまでに準備を進めてくれている。

そんなこんなでせっかく目の前でお祭りが行われているのに
私が外出許可が出るほどまでに快復したのはお祭り最終日の三日後だった。

その日カカシさんが私の護衛として付いて祭りを回る事になり、それ以外の皆さんは各自自由行動。
ちなみにカカシさんを護衛に指名したのはもちろん私。
ナルトくんは一人ではしゃぎながらお祭りの中へと走って行き、サクラちゃんとサイくんはヤマトさんと一緒に祭りを回る事に。
ネジくんは一人でお祭りの人混みの中へと行ってしまった。
一人で気ままにお祭りを回るのだろうか?

「さ、どこから回る?すず音ちゃん」

「そうですねぇ」

「まだ病み上がりなんだから無理しちゃダメよ?
帰り道も結構な旅になるんだからネ」

「ふふっはい。程々にします」

今は丁度夕方。程よくお腹が空いている。

「ひとまず何か食べましょうか」

「ん。りょーかい」

「そういえば今日がお祭りの最終日だから夜は盛大に花火が上がるみたいですね」

「花火大会だもんねぇ」

「…サクさんも…見ることが出来るでしょうか…」

「すず音…」

「きっと見られますよね?
だって花火は高い所まで…空高く上がるのですから。
月まで届かないにしても月から見下ろすことは出来ますよね?」

カカシさんは優しく目を細めて微笑んでくれる。
そして私の頭に手を置くと優しく撫でて

「ああ…きっと見られるさ」

そう言ってくれた。



次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ