山守月天子

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「なーに言ってんの。
十分嬉しいさ。いや、すっごく嬉しい。
すず音が俺の為に頑張って考えてくれた事も、すず音が俺の為に用意してくれた事も、すず音が俺の為に用意してくれた物も。
全部全部嬉しいよ。ありがとう、すず音」

カカシさんはそう言いながら満面の笑みを私に見せてくれた。

「選ぶの大変だったデショ。
俺すぐ『何でもいい』『何でも嬉しい』って言うからさ。
それが一番困る返答だっていうのは分かってるんだけどねぇ」

「正直…少し……だけど、私もよく言いますし気持ちは分かります」

「俺は幸せ者だな。
こんな優しくて可愛くて…世界で一番大好きな人にこんなに愛されて。
あーもー大好きすぎて食べちゃいたい。
でも病み上がりだからガマン…」

と、おどける彼がおかしくて私はクスクス笑う。

「でもせめて、さ」

「はい」

「キスぐらいはさせてヨ」

なんだか熱っぽい視線に私の胸がドキッと高鳴る。

キスなんてもう何度もしてるのに…どうしてか彼に見つめられると初めてのようにドキドキと胸が鳴る。

そっと目を閉じ彼に顔を向ける。

コトリとプレゼントを置いた音が聞こえ、彼の腕が伸びてくる気配がしてそのまま広い胸に抱かれ逞しい腕に包まれる。

「……護衛任務中に良いのですか?」

「こんな直前にそんな意地悪な事言っちゃうの?
…男に戻るのはキスの間だけだからへーき」

「ん……」

柔らかい唇が私の唇に重なった。

空では花火がフィナーレを迎えているのか絶え間く空に上がり続けている。

「ぁ……ん、ん……」

くちゅ、くちゅ…と舌を口内に差し込まれ私のもその舌ににゅるにゅると自分の舌を絡める。

「ね……すず音…」

ぷは…と、口が離れる。
ハァハァとお互いに息を乱れさせ私はとろんとした目で彼を見た。

「やっぱ……欲しい」

「………はい…」

「旅館の部屋はさすがにまずいから、何処か隠れられる所探そっか。
観光地だから探せばそういう宿ありそうだけどなるべく人目は避けたいからネ」

「ふふっそこまで警戒するのにどうしても私は欲しいのですね」

「可愛い可愛いすず音が悪い」

「はいはい」

カカシさんは置いていたプレゼントを回収して大切にポケットにしまうと、私を抱き上げる。
私も彼に抱きつきすりっと頬を寄せて甘えるとカカシさんは愛おしげにちゅっと髪にキスをしてくれた。

ドン!と一際大きく空に咲いた花火を背後に、私とカカシさんは夜の闇の中に紛れその姿を隠していったのだった。


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