そらのいろ

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ナルトくんとサクラちゃんふたりから手を引かれ、後ろにカカシさんとサスケくんふたりが続く。

ナルトくんがよく通うというラーメン屋。
自分達が卒業したという忍者の学校。
まだまだ子供だというのに積もる思い出話は沢山あるようだ。

「そういえば、すず音さんの家ってどんな所なんですか?
なんかすず音さんってすっごく育ちが良くてお嬢様って雰囲気!」

興味津々で聞いてくるサクラちゃんに便乗して私の顔をわくわくと覗き込んでくるナルトくん。

そんな無邪気なふたりに和みながら私は答える。

「そうですね。裕福な家の方が私を引き取って下さったのは本当に幸運だと思います」

「え?引き取る…?」

「すず音ねーちゃんの本当の親じゃないってことなのか?」

「はい。
私は元々孤児で施設にいました」

「孤児!?親はどうしたんだってばよ!死んじゃったのか!?」

「分かりません。生きてはいるとは思いますが…
私は…ここの世界では分かりませんが、私の世界ではよくある公衆トイレに捨てられてた子供なんです。
子供と言ってもまだ泣くことしか出来ない赤ん坊。
きっと私の両親は望まない妊娠をし、望まない出産をしたのでしょう。だから私を公衆トイレに捨てて行ったのだと思います。
運良く施設の職員の方に拾われ、そのまま病院へ連れていかれ…しばらくして退院しそのまま施設で育てられる事になったんです。
本当に幸運だと思います」

「そんな…そんなの、幸運でもなんでもねーよ!
子供を捨てる事自体がおかしいってばよ!」

「ナルト。熱くなるな。落ち着け」

「でもさっ…でもさ!」

カカシさんの諌める言葉にも挫けず食って掛かるナルトくん。
きっと私の為に怒ってくれてるのだろう。
そう思った私は嬉しくなり、納得いかなそうな表情をするナルトくんの頭を優しく撫でる。

「ありがとうナルトくん。
確かに私の親は許されない事をしたんだと思う。
だけど…施設の暮らしは凄く楽しかったの。
そう思ったら、望まれない人の傍で暮らすより大勢の仲間達と暮らす方が幸せだと思わない?」

これらは全て本当のこと。
優しくも厳しかった施設の先生達。
似たような境遇の子達が多かったからか施設の子供達は皆見えない絆で結ばれていた。

にっこりと笑顔で笑いかける私を見てナルトくんはやっと納得したのか

「すず音ねーちゃんが幸せだったんなら、いいってばよ!」

彼もにっこりと笑って返してくれた。



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