そらのいろ

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そうして、カカシ先生が任務へ出掛けて数時間。
この間も私は外から監視されているのだろうが、やはりプロの忍の方は腕が良く視線を感じる事も気配を感じる事もなかった。

カカシ先生から「監視はつくけど自由に出掛けていいから」と言われていた私はお言葉に甘えて昼食兼、夕飯や日用品の買い物に出掛けた。

この間カカシ先生と一緒に行った商店街。
彼から事前に持たされていたお金の入ったお財布を私の為にと買ってくれたカバンに入れて数々の商品を品定めする。

「(今日のご飯は何にしましょう…
カカシ先生がいないから、有り合わせの物で何か適当なものでも…)」

ふと、周りに目がいく。

偶然目が合った主婦らしき女性ふたりはふいっと咄嗟に目をそらした。
不思議に思ってぐるりと辺りを見回すと、周囲の人達はヒソヒソと何かを囁きつつも私と目を合わそうとしない。

「…………」

でも、なんとなく分かる。
好意的な視線では明らかにない。
敵意と、嫌悪。そして好奇心。
私には密偵の疑惑がこの里の一番偉い火影さんという方からかけられているのだ。これが普通なのかもしれない。
むしろ、火影さんが決めた私への待遇とカカシ先生の私への態度がおかしいのだろう。

私は…どれだけ甘くされていたのか気付いてなかったんだ。

「(……困りましたね…)」

一気に居心地が悪くなってしまった。

お昼も外で食べてしまおうと思ってたのにとてもそんな気分になれない。

今日分だけの買い物にしようかと思ったけれど、この様子なら少し買い込んでしばらくカカシ先生の家から出ない方が…

「(慣れてると、思ってたのにな…)」

どんよりと暗くなり、ズンッと重くなる胸の奥。

早く買い物を済ませてしまおうと思って歩き出した。

「あの…すず音さん、ですか?」

「え?」

その時、後ろから私に声をかける人がいた。

振り返るとそこにいたのは一人の若い男性。
着ている服はカカシ先生と同じ忍の服だった。

「はい。そうですが…」

男性は緊張したように後ろ頭を掻き目を逸らしながら

「あー…と、すみません。急に話しかけて。
オレ、うみのイルカっていいます」

「うみの…イルカさん」

「最近ナルトの奴がよくすず音さんの世話になってると聞いて、一度挨拶しようと思ってたんですよ。
すみませんね、急に」

「…!ナルトくんのお知り合いですか!」

「知り合いというか、あいつはオレの元生徒なんです。
今はアカデミーを卒業してるのでオレの手元にはいないんですが…」

「あっ…あの忍者学校の…!イルカ先生ですか!
ナルトくんからよく伺ってます」

「ナ、ナルトのやつオレの話を?」

「はい。イルカ先生イルカ先生といつも楽しく話してます」

それを聞いてイルカさんは照れたように少し頬を赤らめた。



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