そらのいろ

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「そうでしたか。
あいつ…まったく仕方ない奴だな」

そう言いながらもなんだか嬉しそうな表情。
その様子はただの生徒と先生という関係よりももっと深い…親子や兄弟のようなものを感じた。

「わざわざご挨拶に来て下さったのですね。
すみません…ありがとうございます」

「いえいえそんな!
どうも、ナルトがお世話になってます。
わざわざナルトに食事まで作ってくださってるようで…
あいつ、好き嫌いが多いから大変でしょう。わがままを言うようでしたら何時でも行って下さい。
ガツンとオレから言っておきますので」

「ラーメンが大好きみたいですね。
特に一楽のラーメンが。毎日ラーメンラーメンとリクエストしてくれるんです」

「さっそく困らせてるじゃないかあいつは…」

「中でもイルカ先生が奢ってくれる一楽のラーメンが最高に美味しいと教えてくれました。
本当にイルカさんの事が大好きみたいで…」

「あ…そ、そうなんですか。
そうですね…オレも、ナルトと食べるラーメンが美味しいです」

照れながらも嬉しそうに微笑むイルカさん。
私はそんな彼の表情を微笑ましげに見つめた。

すると、イルカさんは急にハッと思い出したように

「あっすみません買い物の途中なのに邪魔してしまって」

「いえ…」

「偶然見かけたものでつい声をかけてしまいました。
じゃあ、オレはこれで……」

言いかけ私に背を向けようと体の向きを変えるその動きが途中で止まった。

「…?」

イルカさんはしばらく周りを見回すとやがて一瞬だけ顔をしかめ、だが私へは穏やかな表情を向け

「あの、これからお時間ありますか?」

「え?はい。まあ…」

「良かったら一緒に昼食でもしませんか?
この近くに美味しい甘味屋があるんです。そこは色々な種類の料理も置いてますし…
オレが奢りますよ」

「そんな!悪いですよ」

「女性にお金を出して貰う方が悪いですよ。
オレから誘ったんですし…
買い物もお手伝いさせて下さい」

「いけません。何から何まで」

「オレがしたいんです。
ナルトが世話になってるお礼だと思って下さい」

「ね?」と、優しく笑いかけてくるイルカさん。
もしかして…この人は気付いていて誘っているのだろうか?
私が周りから好奇の目に晒され、敵意や嫌悪をむけられていることに。
そう考えたら、この誘いを断る気にはなれなかった。

「…はい。お願いします」

結局私はイルカさんの誘いを受け入れ
彼の手伝いもあって買い物を素早く終わらせると、早々に商店街を後にしイルカさんに案内され甘味屋に向かったのだった。



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