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□NARUTO拍手ログ
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【子カカシと既婚女性】その2

「ただいま…」

「お帰りなさいカカシさん」

名前も身元も分からない女性がカカシと一緒に住み始めて数日。

任務から帰ってきたカカシを女性は朗らかな優しい笑顔で出迎えた。

女性は相変わらず年下のカカシを『さん』付けで呼ぶし、名前も正体も分からない。

いや、ミナトと三代目だけは知っているようだが教えてくれなければ知らないも同然だ。

様々な理由で働けない女性はカカシを気遣ってか「お部屋代の代わりに」と家事全般を請け負ってくれた。

一人暮らしが長いカカシにとっては家事など大した負担ではなかったが、言葉に甘えて家事をお願いすることにした。

何も分からない不思議な女性。

だが、カカシにとって最も不思議な事は別の事だった。

女性は、カカシとは初対面のはずなのに何故か自分の好物や癖を知っている。

直接女性から聞いたわけではないし、女性も言ってきたわけではない。
ましてや自分から言ったわけでもない。

だが、どう考えても『知っている』としか結論づけられないのだ。

家を数日開ける任務から帰ってくれば「お疲れ様でした」と必ずサンマの塩焼きとナスの味噌汁が食卓に並ぶし
風呂に入ろうとすれば今まで自分でしていた『着替えをカゴの中に準備する』という行動をせずともきちんと準備されている。

これらは全て同居を初めて初日から行われている。

同居初日に好物が並ぶし、カカシの行動を先読みしているのかと思うくらい色々な場面で事前に行動されている。

でも、女性は何も言ってこない。

今だって女性はどこか楽しそうに鼻歌でも歌いながら洗濯物を畳んでいる。

洗濯物を畳み終えるとすぐに立ち上がり

「先にお風呂にはいられますでしょう?
すぐに夕食を温めますね」

ほら。やはり知っている。
自分の普段の行動を熟知している。

初日から彼女はこうだった。

「あんた、俺と会ったことあるのか?」

「え?」

女性は台所に立ち、鍋に火を掛けながらキョトンとカカシを見た。

「その…なんか、俺のことよく知ってるから…」

「………」

女性は微笑ましげにクスッと笑う。

「そうですねぇ。でも私は『貴方』は知りません。これは本当です」

「…じゃあ、よく作るサンマの塩焼きとナスの味噌汁はあんたの好みなのか?」

「いいえ。
好きではありますが好きな食べ物としてあげる程ではないですね」

「………」

「ほら、早くお風呂に入ってきて下さい。
温めなおすなんてすぐ終わるんですから」

なんだか言い負けた気がしてカカシはすごすごと風呂場に向かう。
脱衣所に入るとやはりいつものようにカカシの着替えが丁寧に畳まれてカゴに入っていた。

カカシはその着替えを手に持つとじっとそれを見つめ

「……なんか、ムカつく」

天才忍者と謳われ、自分もその自覚はあったしだからと言って驕ること無く努力もしてきた。

結果、誰にも負けない実力を持つ忍になった。

そこらの上忍程度になら確実に勝てる自信はある。

それなのに…戦えないただの女性に何故か勝てる気がしないのだ。

どんな攻撃をしてもあやふやにされ攻撃を往なし流される。

例えばこちらが本気で向かっても相手にされる所か逆に遊ばれてるような、そんな感じがするのだ。

「ヘラヘラしやがって」

何とかあの女性を本気にさせてみたい。

カカシはそう強く思い、手にある着替えを握りしめた。


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